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© 金沢大学 子どものこころの発達研究センター

研究の目的

(1)バンビプラン

私たちは、自閉スペクトラム症の早期診断システムの開発を目的とした研究を行っています。バンビプランとは、その研究に必要な子どもの発達に関する調査について広く協力を呼びかけるものです。

(2)自閉スペクトラム症の特性

この障害の特性を大きく分けると、言葉やジェスチャー、視線のやりとりが不得手といった“対人的コミュニケーションの問題”、特定の物事への過度な執着、一見無意味と思える動作を繰り返すなどの“行動の問題”とがあります。

例えば、彼らは場にそぐわない失礼な発言をしたり、自分の興味があることを一方的に話し続けたりして、わがままとか、常識がないと言われ、周囲の人を怒らせてしまうことがあります。しかし本人に悪意はないので、反省しようにもどう反省していいか分からず、困ってしまい、かんしゃくを起こしてしまうかもしれません。そうなるとますます叱られたり、からかわれたりして自信をなくしてしまったり、「何でも自分が悪いのだ」とひがんだりしてしまうこともあります。

場の空気が読めないことや協調性のなさが、学校や家庭でのトラブルの原因になることがあり、親のしつけや環境のせいにされることもありましたが、近年では、様々な分野の研究が進み、画像所見などを使って少しずつ脳科学的な解明が行われてきています。これまでの私たちの取り組みからも自閉スペクトラム症のお子さんの脳の働きの特徴が少しずつ見えてきているところです。

自閉スペクトラム症の「スペクトラム」とは「連続体」と言う意味で、このような自閉スペクトラム症の特性は多かれ少なかれ、誰でも持っていると言われています。自閉スペクトラム症の特性を持ちながら、一方でその優れた能力を活かし、社会で充実した生活を送っている人たちも多くいます。自閉スペクトラム症の特性を持った人たちが、社会に適応し、充実した生活を送ることができている要因を探ること、そして自閉スペクトラム症の特性をもつ子どもたちを早く見出し、「その子に合った育て方」を探ることが望まれるのです。

(3)こどもの脳のはたらきを捉える技術の開発

私たちは、高次脳機能イメージング機器のMEG(エムイージー=MEG)を用いて、脳の働きの特徴を調べる技術を開発しています。その一環として、画像や波形情報から脳の中を見る活動を行っており、たくさんのお子さんのデータを必要としています。

この技術を用いた検査では外からのエネルギーを全く使いませんし、身体的な痛みや有害性もないので、今まで困難だった幼児に対する検査を短時間に簡単で安全に行うことが可能となります。私たちの研究開発は、外見からでは判断できない障害や脳の特性を「見える化」することに大きく役立ちます。