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センター長ごあいさつ

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金沢大学子どものこころの発達研究センターは、子どもの脳とこころの発達のメカニズムを多面的に研究し、神経発達障がいの理解、療育支援、治療に役立てることを目指しています。神経生物学、脳機能イメージング、精神医学、心理学および教育学を融合した研究を、基礎・橋渡し研究部門、臨床・社会実装研究部門、文理融合・地域支援部門の主要3部門が協力しながら進めています。橋渡しとは、基礎研究で得られた成果を新しい医療技術および薬品の開発へとつなげることです。社会実装は、新しい知見や技術を製品化し、市場に普及させる、あるいは行政サービスに反映させることを意味します。

現在鋭意進めている研究の一端になりますが、基礎・橋渡し研究部門では、子どもの脳とこころの発達のメカニズムを神経内分泌学的側面から解明し、社会性障がいや困難が生じる状況を改善するための方法のひとつとして、新規薬物の創製を目指しています。臨床・社会実装研究部門は「バンビプラン」という研究プログラムを立ち上げ、脳磁計など最新鋭の画像解析手法を取り入れて、脳の機能から自閉スペクトラムの特性を捉える研究で成果を上げてまいりました。引き続き、この研究はお子さまとご家族の皆さまにご協力いただきながら、詳細な研究データベースの構築と実社会とのより近い繋がりや支援を見据えた「みんなでこそだてプロジェクト」へと継承発展されています。また、文理融合・地域支援部門は、地方自治体行政、教育委員会と連携しながら、子どものこころの諸問題への取り組みを討論し、科学的根拠のある支援プログラム、教材、教員研修プログラムの開発を目指しています。奇数月の22日には、どなたでもご参加可能な自閉症について語る会「自閉症サイエンスカフェ」を開催しています。コーヒーを飲みながら、自閉スペクトラムなどの特性のある方やそのご家族、ご親戚、支援者やサポーター、仕事の同僚、自閉症に関心のある方々と研究者がテーブルを囲んで思い思いの話をし、お互いに耳を傾けます。その中で、我々研究者も自身の研究の意義を改めて考える機会をいただき、また相談機関医療機関とは違ってフラットな関係性の中での交流ということにご賛同いただき、繰り返しご参加をいただいている方も多くおられます。

学術研究の成果を医療、教育、支援の現場へ還元するためには、様々な専門性をもった方々の協力が必要です。自然災害被災後の心理支援にどのように貢献できるかという新しい課題にも直面しており、社会のニーズに耳を傾けることがますます求められています。子どものこころの問題を抱える方々および教育・医療・支援に携わるたくさんの皆様からご協力、ご助言を賜ることができますよう、お願い申し上げます。

令和6年4月1日
子どものこころの発達研究センター長
 横山 茂