コミュニケーション手法開拓部門
自閉症スペクトラム障害(ASD)をはじめとする各種の発達障害(多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、特異的言語障害(SLI)など)を持つ子どもや大人が共通して体験する根本的な困難は、わが国の場合、周りとのコミュニケーションに集中します。中でもASD派、他者と自己との理解や感情交流の困難、想像力の欠如などに伴う語用論の能力の根源的ともいえる制限が、社会適応に致命的な打撃を与えかねません
また、欧米と異なり、ADHDについては大人の支配への反抗から反社会的人格障害へといたるてんかいよりも、言語行動の組織化や文脈情報の適切な利用にかかわるコミュニケーション問題に起因する社会不適合が彼らの困難の中心になります。さらに学習障害でも重症型は別にして欧米のような読み書き困難が前景に出るのでなく、推論の失敗やワーキングメモリの制限に伴う会話や独海の問題が主となります。我が国では実態がよくわかっていないSLIについても、文法障害の深刻さが社会適応のさまたげとなっていることがわかっています。
コミュニケーション手法開拓部門では、以上の事柄を踏まえ、
・会話分析を含む語用論をベースとする介入技法の開発
・コミュニケーション能力の評価方法の開発
(オクスフォード大学のBishopが開発した子どものコミュニケーションチェックリストの日本版作成など)
・多言語環境がASDの社会適応や言語学習に及ぼす影響の国内外に先駆けた研究
・エビデンスが欠如していることが国際的な共通認識になっているASDへのソーシャルスキルトレーニングやソーシャルストーリーズに代わる
スモールグループアプローチの技法開発
を国内外の研究者と連携して開発することを当面のミッションとしています。
加えて、コミュニケーションと関連の深い親子関係などへの発達所外に特化した心理臨床的介入技法の開発にも取り組みます。
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