金沢大学

センター長ごあいさつ

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皆様ご承知のとおり、“子どものこころ”が、最近国内外において世論の大きな関心を得ております。深刻な少子化・人口減少問題や、最近の疫学研究で自閉症関連疾患の生涯有病率が実に人口の1-2%程度にまで急激に増加していることなどの理由から、子どものこころの問題は、今や21世紀の我が国および国際社会における重要課題の一つと言っても過言ではありません。最近この流れを受けて、国連が4月2日を世界自閉症啓発デイとして制定し、厚労省が11月をわが国の児童虐待防止推進月間に指定した、と伺っております。

金沢大学は全国の大学に先駆けてこの問題に真剣に取り組んでおります。つまりこれまでの実績として平成16年度から、神経科学が専門の東田陽博教授が中心となってのJSPS・21世紀COEプログラムと子どものこころの発達研究センター、教育学が専門の大井学教授が中心となっての大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学・小児発達学研究科連合大学院とJST・RISTEX研究プロジェクト、哲学が専門の柴田正良教授が中心となってのJSPS・若手研究者大航海プログラム、そして精神医学が専門の三邉が中心となってのJST・ほくりく健康創造クラスタープロジェクト、などの大型プロジェクトでございます。

平成24年度から新たに、金沢大学子どものこころの発達研究センターの一般財源化が内定しました。またAMEDによる国家基幹研究開発推進制度・脳科学研究戦略推進プログラムの委託を受け、先にお名前が挙がった東田教授や児童精神医学が専門の棟居俊夫教授らが中心となり、金沢大学が我が国における4か所の発達障害研究拠点のひとつとして先端的研究を担うことになりました。特に金沢大学には、オキシトシンの臨床応用研究を中心とした神経内分泌学的研究が期待されております。また平成25年度に三邉と菊知充教授が中心となって、JST・革新的イノベーション創出プログラム(COIストリーム)に金沢大学で拠点代表として唯一選定され、これまで以上のスケールの国家委託型大型プロジェクトに参加しています。

さらに平成27年度には連合大学院小児発達研究科が核となる、文科省委託事業“子どもみんなプロジェクト”で、教育現場への脳科学成果の還元を同志の8大学と目指すことになりました。石川県では、小松地区の教育現場に、受け入れフィールドして御協力頂くことになりました。平成28年度からは、これまで横河電機が担ってきたMEGビジネスの金沢拠点を、リコー社が受け継ぎさらに拡大発展することとなりました。引き続き「子どもにやさしい」をキーワードに、リコー社がMEGシステム/PFU社がMRIシステムの社会実装を、我々とCOIストリームで取り組むことになりました。COIストリームではこの他にも多彩な産学共同研究が展開されており、装着型機器やIT関連機器や治療用オキシトシン製品の社会実装研究に、我々も積極的に参画しています。このような切れ目ない国家的大型研究教育委託事業の支援や、科研費などの個人研究費採択蓄積の結果、お蔭様で当センターは我が国のこの分野の研究拠点に成長しました。

これまでの金沢大学の取り組みの最大の特徴は、倫理・教育・福祉などの人文科学の分野から、生物学・医学・工学などの自然科学までの幅広い文理融合の協力体制を基礎として研究を深め、高度専門職の人材育成、産学協同事業、市民参加の啓蒙活動を展開してきたことであります。さらに連合大学院制度などを通して、志を同じくする他の4大学との教育・研究の連携強化を進めております。このような金沢大学の学内外においての“子どものこころ”をキーワードとして連携協力体制は、その内容以上に、今後の国立大学の在り方を先取する機構改革の新しい試みとして注目されていると自負する次第でございます。

私個人がこれまで行って参りました研究のキーワードは、PETスキャンとMEG計(脳磁計)ですが、前者は主に平成13年から約6年間浜松医科大学にて、後者は平成19年から現在まで金沢大学で行って参りました。浜松では浜松ホトニクス金沢では横河電機という、この方面のトップ企業との産学共同研究で、既に国際的にも共に非常に高い評価を得ております。最近国の有力大学への研究投資の集中化が進む中、地方大学では他ではできない“オンリーワン”研究が一層求められていますが、両研究ともまさにそれが最大の特徴です。最近の医学、医療の進歩は目覚ましいものがあり、脳科学分野でも生きたまま脳の構造機能が詳細に“見える”化されるなど、医学部を(脳の検査と言えば脳波くらいしかなかった)約35年前に卒業した私には、まさに“神による奇跡以上の進歩”としか思えません。しかし残念ながら、MRI、CT、PETなどの脳の画像検査においては、未だに十分な恩恵を受けていない人達がいます。それは、長時間の一定姿勢での記録やアイソトープ・放射線の使用が不可能な、就学前の子ども達です。そのために、“子どもにやさしい脳画像機器開発”が、今後の我々の眼目の一つです。その他の当センターの多彩でハイレベルの研究内容については、とりあえず当ホームページの研究内容の紹介を、御覧頂ければ幸いでございます。

最後に、皆様への当センターへの御指導御鞭撻を改めてお願い申しあげ、平成29年度のごあいさつとさせて頂きます。

平成29年4月1日
子どものこころの発達研究センター長 三邉 義雄

センターオブイノベーションプログラム 連合大学院 子どもみんなプロジェクト いしかわ子どもの心のケアネットワーク 東田陽博研究室

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