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第27号
最新医学論文27
オキシトシンが著効した16才女子
Long-term oxytocin administration improves social behaviors in a girl with autistic disorder
概要
16才女子の一例報告
福井大学、金沢大学・子どものこころの発達研究センターからオキシトシン著効例が報告されました。
対象者:16才女子。自傷行為を含む、攻撃性が強い。他者の心理状態をあまり理解しない傾向のある16才女子。昔、言葉の問題としてオウム返し、テレビゲームに熱中、けばい服装をし、情緒が安定せずに、爆発的であった。
しかし、他の精神病を持たず、MRIで異常を認めず、IQ(知能指数)は92で、ABC(異常行動チェックリスト)の得点は69と高く、DMS-IV、DISCO診断で高機能自閉症と診断された。数ヶ月リスペリドン等の向精神薬物療法を受けたが、効果がない上に、錐体外路症状としての不随意運動や、もうろう状態の出現を見た。
オキシトシン投与
患児の母親が、点鼻オキシトシンが自閉症に有効との事をインターネットで知り、シントシノンを1日8国際単位、試みる事を決めた。(朝夕1回ずつという以前の報告量よりも少ない量で始めた。我々(医師)、母親によるチェックリストに基づく行動評価をしながら観察を続けた。1ヶ月後、
- 彼女の部屋に閉じこもる時間が短くなる。
- 挨拶するようになる。
- 会話するようになる。
- 友人のことに同情を示すようになる。
- 家族が彼女の世話をする事に対する感謝を述べる。
- 家族の言葉にひっかかり、反抗しない。
- かんしゃくがなくなる。
- 自傷行為が少なくなる。
- 彼女がオキシトシンを使っている事を知らない学校の先生が、感情の爆発や自傷行為が減り、日々会話が増え、他人との間で嬉しそうな顔を示す事が増えた事に驚く。
ABC(母親による)得点が15(69から)に減少。
(易興奮性28から12へ)
(易興奮性20から22へ)
2ヶ月後
- ABC得点7
医師による印象指数(CGI-S)が6(強い病的状態)から3(軽い病的状態)に減少。
CGI-Iによる改善率は1(大変良くなった)
6ヶ月後
- ABC得点7
副作用
- 目立ったものなし(過敏、むかむか、嘔吐)
- 月経周期は正常に保たれ、乳汁分泌はない
- 血球数正常
- 腎、肝機能正常
- 脳MRIで正常
結論
オキシトシンの連続投与により、金沢大学センターで経験している男子の著効例と同様、自閉症状的行動の改善が6ヶ月以上続いたと考えられる女性の例の世界で最初の一例。