金沢大学

脳の個性研究臨床部門

当部門では、様々な脳機能測定装置を活用して、学童以降の個々の素質の脳科学的分類を行い、脳機能と個性の関連性を明らかにすることを活動目標としている。脳の活動の可視化には、具体的には幼児用脳磁図計(MEG)、成人用MEG、核磁気共鳴画像法(MRI)、陽電子放射断層撮像法(PET)、脳波計(EEG)などを用いている。特に、金沢大学は、世界に2台しか稼働していない幼児用MEGを有している。この装置を用いて、定型発達および自閉症スペクトラム障害を含む、様々な幼児の脳機能を測定している。これまでに蓄積した約300人の幼児の脳機能測定(幼児用MEGによる)のデータベースを解析し、知能や行動特性といった個性を推定する生理学的指標を探索中である。脳磁図の具体的な解析方法としては、脳の誘発反応を調べる手段の一つとして、人の音声に対する聴覚誘発反応を幼児で調べ、聴覚野における反応の大きさや、左右差などが、言語や社会性の指標になることを示してきた。さらに、脳のネットワークを評価する際には、CoherenceやPhase lag indexをもちいて、自発的な脳活動の脳部位間の結合度を分析し、脳内全体の複雑なネットワークの特徴を、グラフ理論などを用いて評価している。異なる周波数の結合(cross-frequency coupling)などの新規の解析方法も含め、常に世界的動向を考慮して、新たな生物学的指標となる解析アルゴリズムを組み入れていてながら、研究を推進している。

本研究部門は、大阪大学が拠点となっている国家プロジェクトCOI stream のサテライトテーマ「脳の個性を生かした子どもの健やかなこころの育成:特異から得意へのパラダイムシフト」(代表:三邉義雄教授)を実行していくことが使命である。COI stream とはCenter of Innovation Science and Technology based Radical Innovation and Entrepreneurship Programの略である。激しい国際競争の中、我が国の成長戦略として、革新的イノベーション創出の実現は不可欠との観点から、これまでの産学連携研究開発の方法を再構築するためのプロジェクトである。大阪大拠点の目標は以下のごとくである。「人間力(脳力、脳個性、体力、意欲等)を活性化し、潜在力(個人が持つ最大の能力)を常に発揮できる人を多数輩出する」。我々サテライト金沢の当部門は、今まで通り「幼児の健やかなる成長」を研究対象として、幼児期の脳の個性を大切に守っていくという観点から、大阪大学のCOI拠点と協力し、研究を推進していく。

センターオブイノベーションプログラム 連合大学院 子どものこころサミット いしかわ子どもの心のケアネットワーク 東田陽博研究室

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