金沢大学

相互認識機能研究基礎部門

21世紀COEプロジェクト「発達・学習・記憶と障害の革新脳科学の創成」のテーマに沿う形で、それぞれの教員が自分の得意な手法を用いた研究を進めている。「子どものこころの発達研究センター」設置後は、発達障害、特に自閉症に関わる遺伝子の同定とモデル動物の作成、脳機能解析と自閉症の新しい治療・診断野研究を行なっている。

子どもの学習、社会性、行動の障害などを、脳の機能障害ととらえて、そのメカニズムを解明するのみならず、機能障害を克服する方策や革新的な治療法を提案することを目標としている。

具体的な基礎研究としては、ここ数年の生物学上の大発見である、低分子RNA技術(RNAi)によるショウジョウバエの発達、学習、記憶関連遺伝子の包括的探索を行った。その中からヒトと相同関係にある遺伝子を選択し、ヒトの血液サンプルでDNA解析を行った。子どもの学習、社会性、行動の障害に関係する遺伝子や社会認識(対人関係)を記憶し信頼・愛着を向上させる分子として,CD38を同定した。オキシトシン分泌による機能低下が原因である事を突き止め、得られた情報を臨床・創薬に繋げる研究を行なった。

A) RNAiを用いたショウジョウバエゲノムワイドスクリーニング

脳発生の遺伝子ネットワークを追求するため,ショウジョウバエを用いたRNAiスクリーニングを進めた。現在までに全遺伝子の約60%に相当する遺伝子のスクリーニングを達成し、神経発生に関わる202のショウジョウバエ遺伝子を抽出することに成功した。これらの中にはヒト精神遅滞原因遺伝子のオルソローグが含まれていることがわかった。また、少なくとも数個の遺伝子は、ヒト染色体Linkage Studyから推定される自閉症遺伝子座近傍に存在することが判った。これらの遺伝子については、マウス脳初代培養系を用いた二次スクリーニングを行い、ほ乳類での神経発生時での機能解析を進めている。さらに、自閉症者DNAサンプル解析へと研究を進めている。

B)マウス行動実験系の整備・稼働

マウスの行動を詳細に評価する目的でいくつかの行動解析系を導入した。行動解析はヒトが理解する言語を持たないマウス等の齧歯類の脳・精神機能を測定するためには必須の手法である。学習・記憶,情動,運動/運動学習といった脳機能を測定するための実験装置として、オープン・フィールド装置、Morris型水迷路、受動的回避実験装置、ロータ・ロッド装置の計4台を稼働させて、遺伝子改変動物分野にて維持されているいくつかのマウス系統に関して行動解析を行った。また、新たな装置としてマウスの自発的活動や個体接触等の社会的行動を24時間測定できる装置を導入した。複数の行動実験より得られる遺伝子改変マウスの行動変化を多角的に検討することで、脳神経系での機能が未知の遺伝子に関して,その臨床上の役割を解明できるものと考えている。

センターオブイノベーションプログラム 連合大学院 子どものこころサミット いしかわ子どもの心のケアネットワーク 東田陽博研究室

ENGLISH