金沢大学

Age2部門

 「こころ」の発達について脳科学的に可視化することが近年盛んになってきている。しかしながら「こころ」が何をよりどころにして成長するかについては、生理学的研究がなされていない。つまり、心理学的には「こころ」が定義されているものの、「こころ」が健やかに成長するための大脳生理学的要素については、検討されてこなかった。我々は、臨床的な経験から自閉症スペクトラム児には多様な「こころ」が存在していると感じており、健常児とのコミュニケーションを阻んでいるのは、自閉症スペクトラム児における「こころ」の質的異種性にあると感じている。興味深い事に自閉症スペクトラム者は感覚過敏や鈍麻など、知覚入力に多様な偏りが存在している。人の脳に「こころ」が形成される前に、知覚入力が存在することは自明であり、異質な知覚入力システムから発達した心は、健常人の比較的均一な「こころ」と共感しようとしても、困難であることが予測される。そこで当部門では「多様な知覚の生理学的発達過程に、多様な心が形作られていく」という挑戦的なモデルを仮定し、脳機能の下位のレベルに位置する知覚の幼少期の発達が、より高位のレベルにある「こころ」の成長にあたえる影響について調査することを目的としている。

 乳幼児期における脳科学研究は、参加者本人の協力が得られにくいことから、通常研究は困難である。現在当部門では、乳幼児に対して優しく脳機能評価が実施可能な日本唯一の幼児用脳磁図計を活用し、縦断的に脳の発達データの収集を続けている。具体的には生後3か月から24か月に至るまでの聴覚情報処理についての脳機能測定を実施している。今後はさらなる追跡調査により、社会性の発達との関連を調査していく。

 「こころ」の発生メカニズムそのものに迫っていくための研究部門である。将来的には、本研究が健やかなこどものこころの発達に寄与できることを祈っている。

センターオブイノベーションプログラム 連合大学院 子どものこころサミット いしかわ子どもの心のケアネットワーク 東田陽博研究室

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